2人とも初参加!正反対の役柄のバックグランドを理解しながら「友情」は芽生えたか? フライドチキンの代わりに、串刺しマシュマロ食べながら、カメリハ・オリジナル「グリーンブック」スタート! ドク役・・・さほさん ➡演技そのもの初体験! トニー役・・・そらちくん ➡映像演技ほぼ初体験! 元演劇部・本格的に演技勉強しようと計画中。 映画「グリーンブック」の前半、ツアーの道中、キャディラックの車内、 ケンタッキー州に入ったところで、お互いの心の距離が少し近づく、印象的な名シーン。 ~演じてもらうキャラ~ ・ドク:上品で教養ある黒人芸術家。家族との確執あり。自分のアイデンティティがわからず孤独を抱えている。 ・トニー:がさつで無教養、ケンカっぱやい。ブルーカラーだけどファミリーやコミュニティを大事にし、誇りに思っている、イタリア移民のアメリカ人。 ~役作りのポイント~ アメリカNYブロンクスが舞台の映画では、「黒人」「イタリア系アメリカ人」は、めちゃくちゃ出てきます。 この関係を、日本の似たような状況に置き換えます。 ・ドク役のさほさんは、芸術家でお嬢様。それがゆえに孤独を抱えています。家族との確執もあり。 ・トニー役のそらちくんは、さほ家に雇われたバイト運転手。ブルーカラーでガラ悪いけど、家族を誇りに思っている。 ~設定~ 車中、トニーがドクに、家族のことを聞きます。 ドクは兄弟とも疎遠、芸術家と家庭人の両立ができず離婚もした・・・ と、身の上話をしている途中、ケンタッキー州に入りKFCの看板が見えてきます。 トニーは、ドクが話しているのにおかまいなしで「ケンタッキーで、フライドチキンだ!」とテンション爆上がり、 バケツで購入。 運転しながら本場のフライドチキンにかぶりつくトニー。 フライドチキンなんてジャンクなもの食べたことないトニー。しかも手づかみなんてとんでもない。 この会話前に、トニーが「とにかくうまいから食ってみろって!」とゴーインに勧め、 ドクが「いらない」と断る会話が、2分ぐらいあります。 トニーが、しぶしぶ、フライドチキンを受け取ったところから始まります。 フライドチキンの代わりは、この、串刺しミニマシュマロ。めちゃ食べにくい~。 〇今回は完成版から! (4テイクめ!) おふたりとも、 「食べながら演じる」という難易度の高い演技をよくがんばりました! 2Sのロングとアップ、ちゃんと編集つながっています! ・さほさん・・・初演技とは思えないコントロール力。動きを整理し、心もセリフ整理しています。 お嬢さまらしい手つきもしぐさも考えてます。 ・そらちくん・・・さすが元演劇部。舞台で鍛えた発声がばつぐん。動きもあれこれ整理しました。 そして、難しいトニー役を、自ら志願したところがえらい。 ここに至るまで、 カメラなしで、めーーーーーっっっちゃめちゃ練習したおふたり。 Take1と、Take3であきらかに変わりました。 まずは、とりあえず撮ってみたTake1から。 〇Take1 Take1の時点では、おふたりとも、セリフがすべて入っておらず、自分のセリフを言うのが必死。 ましてや串刺しマシュマロ食べながらで、動きもぎこちなく、コップぶつけちゃってます笑。 役作りもまだ手探りで、確信をもっていません。 「友情」には程遠く、まだ俳優同士(役柄同士)のケミストリーは生まれていません。 このTake1を観ながら、いろいろと検討がはじまりました。 ●食べながらの動きを整理する。セリフをきっかけにアクションを流れで考える。 特に運転しながらのそらちくんは、後部座席のさほさんを練習室のミラーで見ながらの演技。 たまに、後ろチラ見を入れなきゃいけないけど、ずっと後ろ見てると事故るので、配分を考える。 ●相手のセリフをよく聞いてからリアクションする。 そしてお二人から、役作りに関する良い質問が。 Q.そらちくん「なぜトニーは急に親父の話をはじめるのでしょうか?」 A. 自分たちの血統を誇りに思っているから。 イタリア系アメリカ人の家族やコミュニティの絆の深さを描いた映画はたくさんありますので、観てみてください。 フランシス・コッポラ監督「ゴッドファーザー」、 スパイク・リー監督の「ドゥ・ザ・ライト・シング」(これめちゃわかりやすい)などなど。 もちろん、日本人がイタリア系アメリカ人のキモチにはなれないに決まっていますが、 似たようなことに置き換えて、役のキモチに寄り添うことはできます。年が違っても。 例えば、20代前半、日本人のトニーなら、 「オレは下町育ちで、労働者階級だけど、おやじはウデのいい職人。家族を大事にしてくれる自慢のおやじ」 だったら、上流階級のヒトにも違和感なく自慢できます。 Q. さほさん「じゃあ、そらちくんがお父さんの話をしている時、私はちょっとうらやましく、寂しい気持ちになるかも」 A. おっしゃるとおり。 ドクは、家族と確執があります。 さらに、黒人なのに白人セレブを相手に仕事をしているピアニスト。 黒人のコミュニティにも入れず、かといって白人でもなく、才能とお金に恵まれていても「自分はナニモノなのか」という孤独感が役づくりの核です。 ついでに、この時代は、移民のイタリア系アメリカ人、黒人ともに、低賃金の仕事しか与えられませんでした。 両者とも同じ境遇なのに、イタリア系アメリカ人は「自分たちは黒人より上」と思っていました。 トニーが、ドクの芸術家としての才能を認めながらも、しかも雇われてるのに、ずっとタメ口きいてるのは、 がさつなだけでなく「俺たち同類じゃん」というキモチが根底があったのかもしれません。 などなど、いわゆる「脚本読解」と「役作り」を深堀りして話し合いました。 時代背景、場所、その役が生まれ育った環境などを分析し、 「なぜトニーはドクにフライドチキンを食べさせたいのか」 「なぜドクは嫌がるのか」 目的を、考えた上で「行動(アクション)」することで、セリフの言いまわし、表情など、ニュアンスが定まってきます。 あれこれ検討した上のTake3。 〇Take3 動作が整理され、お互いのセリフをちゃんと聞いて、心が動いています。 2人の間に「友情」が芽生えそうになっている。 自分が納得するまで、めちゃくちゃ練習していたおふたり。 こうして、冒頭の「完成版」(Take4)に至りました。 あまりの真剣な練習ぶりに、写真撮り忘れた!ごめんね! 完成版に使ったそれぞれの1Sアップを載せておきます。 〇完成版 さほさん・1Sアップ 〇完成版 そらちくん・1Sアップ お2人も、じっくり見直し、表情の研究に使ってください。 本物「グリーンブック」のフライドチキンシーンを再度見てみましょう。 トニー役のヴィゴ・モーテセン、「ロード・オブ・ザ・リング」でイケメンのアラゴルン役やってたのに、 この変身ぶり。体重増やし、大食いのおっさんのようなビール腹にしたそうです。 そしてマハーシャラ・アリは、「ムーンライト」で、薬の売人役やってましたね。 このシーンでもわかりますが、ピアニストを強調するため、手や指の演技がお見事で、 背筋は常にピンと真っすぐでした。 ピアノの演奏シーンは圧巻! さほさん、そらちくん、おつかれさまでした!
バテるどころか「楽しい~~」と言ってくれていたのが、何より頼もしい。 次回は、2023年1月24日(火)千種文化小劇場・練習室にて、 テーマは「アス」です。 ビビりながら威嚇する演技で、 コメディホラーに挑戦してみてください!
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Vol.24「英雄の証明」
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