第6回めは、コメディ。「下心ありあり」をどう演じるか。カメリハ・オリジナル「バッド・テーチャー」スタート! お金目当てで近づいてくる主人公・女優のちあきさんと、お笑いピン芸人一年目のアンクラウンくん。あの手この手でカモられる懐疑心ゼロの良家のお坊ちゃま・高原靖典先生。 カメラは1台、2方向からそれぞれ順に、肩ごしの切り返して撮影。(ついでにロングも撮影) まずは、編集した完成版、お二人もTake1とTake3をごらんください。 (動きが2カメ並みに、きっちりつながってる!) 〇ちあきさん 〇アンクラウンくん 高原靖典先生の演技指導、Dの要望を追加しながら、 演じる➡撮る→観る→ をくりかえし、こうなりました。 〇ちあきさんは、とってもお上品で清楚なお人柄。役柄とは正反対。 キャメロン・ディアスの演技につられることなく、ご自身のフィルターを通して、 コメディ加工し、「色気でせめる強引な悪女」という、ちあきさんならではのオリジナルキャラを作り出してくれました。 そうきたか!爆笑。 (正反対の役を演じられる女優さんに出会うと、演出はテンションあがっちゃう) Take3では、笑いのツボになる「色気」をさらに上乗せし、誇張してもらいました。 「色気」を誇張する場合は、このように、声のトーンを下げ、落ち着き払った動きにすることで、むしろ効果が増します。(抑えたり引き算することで、効果を増す上級のワザです) 〇一方、高原靖典先生は、Take1の「なんだ?このキレイでへんなおねーさんは?」と、 うろたえる演技から、Take3では「されるがまま」の演技にしてもらいました。 この先生のリアクションが、お見事! ちあきさんの「下心」が引き立ちます。 高原先生「この展開だと、俺はベッドに連れていかれるっ」 わはは、107号室ではなく、ちあきさんの部屋に連れていかれ、薬入りのお酒飲まされ、 朝起きたら、服も、腕時計も、財布もないパターンだわ。 〇演技もカメラも初の、ピン芸人のアンクラウンくん。 Take1では、お金目当てでカモを狙ってる演技になっていなかったため、 「下心がはっきりわかるようにすること。そして、アンくんは、 役者さんではなく芸人さんだから、何をやってもよし!」 という要望を出したところ、Take3では、腕時計をムリヤリ外そうとする演技を、 自ら追加してくれました。 おおお、よー考えた! 〇高原先生は、アンクラウンくんに合わせてリアクションを毎回変えてくれました。 (Take3は、2人の見せ場をテンポよくするため、編集でカット割りを細かくしてあります) 今回は、高原先生の本領発揮です。 このように、同じ「カモられる良家のお坊ちゃん」という役柄はそのままで、 相手(悪女・調子のよさそうなワカモノ)に合わせて、リアクションを変えるためには、 ・「どういうジャンルの作品か(コメディ)」 ・「シーンの意味」 ・「監督ごとの演出意図」 をしっかり理解できないと、なかなかできません。 どうしたらおもしろく見えるかは、役者さんのセンスです。 〇編集する前の、ちあきさん&高原先生の1ショット、Take3の撮り素材をノーカットで、 載せました。 ・ちあきさんの心の変化(サブテキスト)による、目線、まばたき、しぐさ。 「もしかしてお金持ち? →腕時計ブランド確認 →本物のお金持ちだ!」 ・高原先生のリアクションを、じーっくり観てください。 〇そして、アンクラウンくんのように、お笑い芸人やコメディアン俳優を目指す方のために、Take3の、FF・2ショットの撮り素材を、ノーカットで載せました。 <FF:フルフィギア・・・人物があたまから足までフルで映っているサイズ> 特にお笑い芸人さんは、舞台はもちろんですが、「舞台上で動き回るタイプの漫才やコント」の場合、テレビの1カメさんはほぼこのサイズです。 観客の目には、どう見えているかをじーっくり観て、研究してください。 「コメディができる役者さんは、何でもできる」という通説があるほど、 コメディは、かなり難しいっ。 最後に、「バッドティーチャー」の予告映像をもう一度。 さて、次回は、 コメディとは、うって変わり、映画「フィラデルフィア」の弁護士役です。 「カメラ目線でのアップの演技」に挑戦してください。 ※ここからは「演技」ではなく、演出に関する「イマジナリ―ライン」の説明です。 |
Vol.24「英雄の証明」
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