第7回めは、法廷モノの社会派映画。カメラ目線アップで語るいろんなタイプの弁護士さん。 カメリハ・オリジナル「フィラデルフィア」スタート! B弁護士:高原靖典先生。 A弁護士:女優のちあきさん、舞台女優のひさえさん、ピン芸人のアンクラウンくん。 (判事は全員に演じてもらいました。) A弁護士と、B弁護士は、ともに優秀な弁護士さん。 映画の冒頭、「商売敵」である二人が熱弁をふるうシーンでは、B弁護士が優勢な立場です。 「なんとかして訴訟に持ち込むために、やや大げさに力説するA弁護士」を、参加者のみなさんに、 「相手の出方を見て理論的に語るB弁護士」を、高原靖典先生に演じてもらいました。 インサートカットはそれぞれ、心情と目線に合わせ、入れる場所をアレンジして編集しました。 さっそく、完成版から! 〇A弁護士:ちあきさん ライバル感、やり手感、ばりばりっ! 「フィラデルフィア」のデンゼル・ワシントンに一番近いタイプの弁護士さんに見えます。 負けそうなのをわかっているがゆえに、ちょっと大げさに説得しようとしています。 最後の方のインサートカットで、内心たじっとしながらも、余裕の笑顔を作り判事さんにアピールする演技は、高原先生のアドバイスです。 優秀でやり手なヒトって、負けてる感を、顔に出さないようにするのよねー。 これまた、ちあきさんの作ったキャラに合っていて、効いています。 映画の後半、このやり手感が、商売敵だった高原弁護士を救うことになったら、観ているヒトは「おお、さすが!その調子!」と、希望がわいてきます。 〇A弁護士:ひさえさん うっかり、信じてしまいそうな神妙さ! こんなに深刻に力説されたら、ひょっとしてこっちが正しいかも?と心が揺らぎます。 「フィラデルフィア」冒頭に、この神妙さで負けても、後半、さらに神妙で息をのむような弁論が、逆に高原弁護士を救うことになったら、私は泣いちゃう。 「ううう、冒頭の神妙な演技は、後半で本領発揮して見せるための、伏線だったんだわ。」 本当の撮影は、撮り順がバラバラですが、伏線を意識し、計算に入れて演技計画を立てると、とても効果があります。監督のねらいがそうならなおさらです。 高原先生のインサートも、その神妙さに耳を傾けているようすを使いました。 〇A弁護士:アンクラウンくん 今回、笑うところひとつもない映画がテーマなのに、アンくん大丈夫か?! ・・・と思いましたが、編集してみたら、 セリフは滑舌悪いし、細かいところはまだまだですが、 「ベテラン弁護士相手に、一生懸命戦う若モン弁護士」というアンくん特権のキャラが、 予想以上に出ちゃいました。(高原先生つきっきりでアドバイスしたかいがあります) このキャラを生かすと、映画もおのずと主役はA弁護士になっちゃいますし、 観てる人が感情移入するのも、完全にA弁護士で、冒頭でやられてたA弁護士が、商売敵のせんぱいを救うとなれば、観客一同「がんばれ若モン!」の王道路線です。 全体の編集も、高原弁護士の威圧感に、びびっているアン弁護士が強調できるよう、お互いの目線を生かしてあります。 ちなみに、もし、その路線であれば、2人が座る位置も変わります。 通常、カミテ(画面右)に、重要な役、おもに主役を配置しますが、 「弱いヒトが、強いヒトと戦う」シーンでは、主役であっても弱い立場をシモテ(画面左)に配置します。 例えば「若きヒーローが、強い悪役と戦う」など。 これも映像の法則ですが、カミテの人物=主・強・重要 を意味するため、 例えば、情報番組などのインタビューでも、ゲストはカミテがふつー、 漫才でも、つっこみは、カミテが多い。 ただし、「徹子の部屋」は、徹子さんの冠番組であるため、徹子さんがカミテです。 ○さて、今回は高原靖典先生の「リアクション3バージョン」をアップしました。 開いてによって、演技がビミョーに違うのがわかりますか? ちあきさん相手・・・「やれやれ、オーバーなこと言いやがって」 ひさえさん相手・・・「えらい深刻にもってきたな」 アンクラウンくん相手・・・「ふん、この若ぞうが」 サブテキスト(心のセリフ)が、はっきり読み取れます。 鏡で表情を確認しながら、お互いに力説する女優陣。 マンツーマンで指導中の高原靖典先生と、熱心なアンクラウンくん。 何度も何度も、撮って観ては、演技を修正。 みなさんの熱心さに心打たれます。 高原先生が、ゲイを理由に差別されたら、きっとみんなが助けてくれるわ。 え?違うの? では映画「フィラデルフィア」予告編を。 ○最後に、みなさんのTake1-3をアップしておきます。 各自、再度チェックして、今後の演技に生かして下さい。 ちあきさん 「アンくん、有害物質のにおいかぐ前から、臭い顔しちゃだめよ」。 私 「(サブテキスト)アンくんにデンゼル・ワシントンの役やってもらうとは夢にも思わなんだ。」 みなさん、お疲れさまでした。
次回は、コーエン兄弟監督のブラックコメディ「ヘイル!シーザー」です。 また、楽しくなりそうっ。
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Vol.24「英雄の証明」
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