第9回めは、イタリア映画の名作。「長まわし」の演技に初挑戦。2人のやりとりをじっくりとご覧ください。カメリハ・オリジナル「イル・ポスティーノ」スタート! 島の郵便局配達人:アンクラウンくん、ちあきさん、ひさえさん。 詩人:高原靖典先生。 カメラおにゅうで、テンション高い私。 今回は、アカデミー作曲賞を受賞のイル・ポスティーノに敬意を表し、みなさんの演技にあったBGMを選曲し、それぞれつけてみました。 高原靖典先生の「3人の相手によって違うリアクション」も必見。 では、3本ぶっつづけで完成版! 〇アンクラウンくん完成版 〇ちあきさん完成版 〇ひさえさん完成版 三者三様で、すごいわ~。 ・まず、アンくんは、いろいろ試行錯誤してくれましたが、完成版では、私の要望で、アンくんのキャラそのままで演じてもらいました。 「本人のキャラのまんまじゃ演じたことにならないじゃん!」 たしかにその通りですが、あとで、持論を解説します。 ・ちあきさんは、ちょっと病んでて引きこもってるという、独自のキャラにアレンジしてくれました。閉じていたココロが、ちょっとずつ開いていくかんじがわかります。 映画の設定とは違いますが、「新しい世界を知る」「友情がめばえる」はそのままです。 はー、引き出し多いっ。ちあきさんの笑顔のエクボは、武器や。 高原靖典先生のリアクションも、お医者さんに近いやさしさに。 ・ひさえさんは、ほんとにどこかの小さな島にいる、あっけらかんとした女性のよう。 この映画の郵便配達人マリオに、もっとも近いキャラです。落語に出て来る「ご隠居さんと与太郎」のような空気感。この映画の見せ場は、こうして別の世界の2人のやりとりが、 コミカルに織り交ぜられているところです。 おおらかで楽しそう。先生も。 さて、何度も書きますが、 演技に正解はありません。これが正解、という演出もありません。 本当の撮影では、その作品のカントクが「OK!」と言った演技が正解です。 センエツですが、私がOK~!と思っちゃった、好みのところを書きます。 それは、冒頭で、高原詩人が、海を見ながらゲージュツ的な詩を語るのに合わせ、 ひさえさんが「海を見ている目線」を、全部のテイクに、きっちり入れてくれたところです。 高原先生は、撮る前から「目の前が海っていう設定ですよね?」と、わざわざ確認してくれていました。←ベテラン 自分は、役者さんが「フレームの外」を想像させてくれる目線がとても好きです。 (監督によってはそうじゃないヒトもいるので注意) 経験のある役者さんは、このようにその場にはない景色や状況を、目線で演じてくれます。 舞台女優のひさえさんは、舞台のクセが自然に身についちゃっているのかもしれませんが、舞台で培った想像力は、映像にもちゃんと映ります。 お二人の目線効果がはっきりわかるように、海の映像を探してくっつけときました! (どこの海かわからんけど。イタリアですようにっ) こうして実際に海の画を入れると、 はたして自分の演技は、場所や状況を意識したものだったか、 がわかりやすいと思います。 映画やドラマの台本をもらった時、セリフだけでなく、ト書きをしっかり読みこんで、 が、すごく重要です。ト書きにはいろんなヒントが書いてあります。 特にイル・ポスティーノは「小さな島」という、ロケ地ありきの物語です。 その作品ごとに、監督が大事にしていることは何かを読み取って、演技に生かすと、喜ばれますよ。 また、上記とは、意味あいが違いますが、 最近、グリーンバックなどの合成撮影多いから「想像力」を鍛えておくと、そこでも威力を発揮します。 さて、アンくんに「自分のキャラで」とお願いした理由は、2つ。 1.アンくんの本業は芸人さんだから。 映画やドラマに呼ばれるお笑い芸人さんは、役者さんのような、演技力を期待して呼ばれるのではなく、そのままのキャラが必要だからです。 だから、そうしてもらいました。 こういうキャラがほしい!という監督、ぜひ呼んであげてください。かみますけど。 2.初心者の役者さんへ。 たとえ本業が役者さんだとしても、2分もある「長回し」に耐えられる役者さんは、 なかなかいません。よっぽど訓練していないと、コントロールできず、素に戻ります。 セリフのやりとりが、なんとなく成立すると、自分は演じているように錯覚しますが、 手も足も目線も、自分が動かしているだけで、役を演じているわけではないことが、 わかる人には、わかってしまいます。 「長回し」は役者さんにとっては上級ワザ。撮る方もにも勇気がいる。 Dは、それを視聴者に見せてよいかどうか悩みますが、 長回しはやめてカットを割り直すか、 今回のように、いっそのこと自分のキャラのままで、とお願いします。 正解かどうかはわかりませんが、自分は、ムリさせるぐらいならそうします。 アンくんに、自分のキャラでとお願いしたら、 「だったら正座します。自分だったらそうする」と考えてくれましたが、 それが、演技を考える第一歩。 年上のヒトと話しをする時の座り方、同じ年頃の男子でも、 「バイト先の態度の悪いあいつだったら」 「シャイな友人だったら」 「何事にも興味深々コウハイだったら」どう座るか。 モデルになるひとは、まわりにごろごろいます。 常に人間観察して、自分の中に入れて、変換し、 カラダを使って表現していくのが練習です。 そして、イル・ポスティーノの「マリオ」だったらどう座るか。 すでに出来上がっている映画は、その役者さんが作り上げた人物だけど、 それにひきずられたり、マネするのではなく、自分なりのマリオを作ってください。 本当の撮影現場は、文字の台本しかなく、ゼロから生まれるのですからね。 カメリハは、それを練習する場だから、まずは撮って、観てみるべし。 素のアンくんは、いつも高原先生に指導されてる時、こういう表情してるから、 もうそのまんまでええやん、と思っちゃった。 それでは、「イルポスティーノ」の映像をもう一度。 詩人役の俳優さんは、名優中の名優、「ニューシネマパラダイス」のアルフレッドです。 初の「長回し」おつかれさまでした! 高原先生、3take×3人分の持久力。すごいわ。 次回のテーマは、「英国王のスピーチ」です。 女王さま、お姫さま、王子さま、お待ちしております。 最後にみなさんのtake1,-2もアップしておきますので、各自でご参考にしてください。 ※お詫び:カメラのマイク性能良くなったのに、エアコン切るの忘れて、ノイズひどくてすみません!「波の音」ということにして、BGMつけたのです。 ひさえさん、フォーカスずれてすみません!
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Vol.24「英雄の証明」
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