この日は、午前中、金原母とバドゥン市場へ。
午後から、ひとりで、マッシュデンパサールへ。映画ざんまい!
Edo、どこぞの映画祭のプログラマーと連日会談中。お疲れさまです。
マッシュデンパサールのこのミニシアターは、EdoとCikaをはじめ、映画祭幹部スタッフの作りです。
ほんとに音響設備がよいので、すごいと思う。 よし、まだだれも来ていない。今のうちに写真撮ったれ。
と、思ったら、あっというまに満席。
Out of Ordinary部門、直訳すると「並みはずれた」ですが、
たぶん「日常ではない」みたいな意味かもしれない。 完成度は、並外れてました。 特にこの◎つけた2作は傑作で、監督ご来場。
司会のCikaさんと、
左・めがねの男性は、香港の監督。 右・ベルギーの監督デュオ(ご夫婦)。
この2作、ほんと素晴らしい!後半の、Yumi傑作選で、がっつり紹介します。
隣の席の、スタッフのDinaちゃん。「Hi Yumi!」
隣に座った時点で、みんなお友達。 私は、英語の字幕読むの追いつかないし、監督方の解説も全部聞き取れないため、 私「今のって、こういう意味?」 Dina「そうそう!でね(追加説明)」 私「へえええ」 Dina「あ、ベルギーのお二人、日本の映画祭でも上映された、って言ってるよ」 私「ほんとだ。どこだろ?」 と、親切に追加説明してくれます。 私がばしゃばしゃ写真撮ってたら、 Dina「日本のスマホのカメラって、シャッター音消せないんだよね?」 私「え?! そんなことよく知ってるね!なんで知ってるの?」 Dina「日本人の友達がいるんだ」 私「そうなんだ。・・・って、これ、音うるせー?めーわくかな??」 Dina「全然。笑。だいじょうぶだよ、撮って撮って」 あらためて、 日本のスマホ、シャッター音、消せるようにしてくれっ! これ、Blackberryなのに、OSがアンドロイドになってから、日本仕様で、音消せなくくなった。 音がうるさいことよりも、 「盗撮防止」という理由を、他国のコに説明するのが恥ずかしいっ。 (ちなみに、「チカン」は、日本だけに存在し、英語でもそのままチカンです) 話は戻りますが、 やはり、作品撮ったカントクご本人の解説は、勉強になる。(半分ぐらいしか聞き取れなくても!)
「Hi Yumi! 映画どうだった?」今度はボランティアのInezちゃん。
うちの、ちはる助監督にちょっとタイプが似ていて、てきぱき明るく、お若いながら頼もしい。 私「めっちゃおもしろかった!!」 Inez「3時半からのも観る?」 私「うん、観る観る! 」 今度は、Contemplationの部。意味は「黙想」「熟考」。 なるほど、主人公は熟考し、観ている方は考えさせられる内容でした。 この部門からは、30代と思われる俳優さんの、演技が光る2作をピックアップしました。
-Yumi傑作選-
Out of Ordinary部門より ⑥The Umbrella (会場にいらっしゃった香港の監督)
ストーリーは、「アンブレラ」のタイトルどおり、
2014年に起きた、香港の民主化運動「雨傘運動」で、政府に抗議する若者の苦悩を描いたもの。 英語字幕読むの追いつかず、会話の内容ははっきりわかりませんでしたが、 いろんなキャラの学生、その親、恋人など、 抗議デモで傷ついた、それぞれのドラマが描かれていました。 もうまさに、今、香港でデモやってる最中だったので、監督登場で、 みなさん大注目! このポスターは、男性の2ショットですが、実はこの作品、 寮?アパート?の一階の玄関ホールと、二階の二部屋(窓越し)を、外からのロングショットで撮った、 1カット、22分の超長回し作品だったのです!!!
みてこれ、この画角のまま、22分!!!
出演者は7~8人が代わるがわる、二階の隣の部屋に行ったり、一階に降りてきたり、 あちこち移動しながら、何かしらドラマが起こっています。 ほぼ映りっぱなしなので、舞台のお芝居状態。 そして、小雨がずーーーーと降っています。22分間!! さらに、その小雨が、ラストのクライマックスを迎えたとたん、どしゃぶりに!! (雨ふらしマシーン、というか、その係のひと、すごい忍耐力) そして、とどめ!! ここには映っていない、3階の部屋の窓から、何かが落ちてきます。 つまり、3階の部屋でも、見えないドラマが繰り広げられていたのです。 もう、私は、 香港と言うお国柄の、宿命を背負った監督さんの、 簡単そうで、超むずかしい脚本、 一見自然そうで、緻密な計算づくしの演出、 役者さんたちの持続力、 夜の窓越しと、小雨と、遠いところにいる数名の役者さんに、 照明をきっちりあて、音をとりつづけた録音部(さすがにアフレコか?) 計算尽くしの上、洗練された、完成度の高さに、圧巻されました!!! こういう画づくりは、シロウトさんが見ると、なんてことない風景に見えるかもしれませんが、 プロが見ると、みんな、自分の「持ち分」に注目して見るため、 ひええええと、この完成度で、22分持たせろってか?!と、びびります。 さて、 日本でも昨年、1カット長回しが大ヒットしましたが、 どっちが大変かといえば、そりゃ、どっちも大変ですが、 どっちが「映画としてすばらしいか」というと、私は、だんぜんこっちです。 前にも書きましたが、私は、映画は「総合芸術」だと思っているからです。 ちなみに、エリック監督は、香港の若手監督の中で注目株の、 有名な方のようです。 だってさ、もう見た目がいかにも賢そうで、インテリ丸出しだもん。
Out of Ordinary部門より
⑦Discesa (会場にいらっしゃったベルギーの監督ご夫妻?の作品)
youtube予告見つけちゃった。
映像が美しすぎる!!!! どここれ?イタリア?? ストーリーは、(これも字幕追いつきませんでしたが)、 エンジンの調子悪い電動自転車で、坂を上ったり下ったり、うまくいかず奮闘している兄弟。 ラストは「人生とは、そういうもんよ」みたいな?ママンのセリフが入り、 丘の上で、超おいしそうなパスタを作って、2人が帰って来るのをまっていました。 「はい、おつかれさん、さ、ごはんよ。」みたいな。 坂に人生が集約されている!! パスタに愛が集約されている!! 美しいロケーションと、シズル感と、愛情にあふれた、ママンのパスタ。 この映像を、うちの巨匠カメラマンが観たら、絶対、萌えまくります。 ため息のでるような、美しいロケーションと、 よだれでる出るような、お料理カットは、 観るだけで心が洗われ、 世の中のめんどくせーことは、すべてどうでもよくなります。 上映の帰りに、お2人に、 「美しい映像ですばらしかったです!」と、思わず、感想述べてしまった。 そしたら後日、 交流会で、このベルギーの監督ご夫妻と再会し、 「Yumiの映画を観そびれてしまったので、もしよろしければ送っていただけますか?」と言われ、 ぜひ送らせていただきますと、名刺交換してきました。 ジャンル違いすぎますけど。恥。 30~40代の若い監督たちのエネルギーがひしめく映画祭で、 おそらく同年代のベルギー監督夫妻。 お上品なオトナ対応の監督さんに、ちょっと、ほっとしました。 Discesaは、イタリア語で「下り坂」という意味です。 日本の映画祭って、damahだったのね! 今年の春、東京で開催。 実は、締め切り日忘れてて、提出できませんでした。
Contemplation部門より、特に印象的だった、イギリスとタイの2作品。
おそらく30代と思われる俳優さん、ともに演技すばらしかった!!! ⑧Bitter Sea BITTER SEA - trailer from Fateme Ahmadi on Vimeo. ロンドンで働く、移民のシングルマザーのストーリー。 働けど働けど、楽にならざる暮らしと、偏見と差別。 やんちゃで世話の焼ける幼いわが子。 子どもと一緒に住んではいけないアパート?らしく、大家さん、子ども毛嫌いしてるし。 移民の肩身のせまさ、過酷な仕事と、ワンオペ育児のつらさのあまり、とうとう、わが子に、薬を飲ませ・・・。 イギリス人の女性監督(テヘラン出身?)、母国のダメな面を辛辣に描き、リアルな演技と撮影で見せ、 まるで、ケン・ローチ監督。 フツーに映画館でみる1900円の洋画を、15分に切り取ったみたいな完成度でした。 移民役の女優さん、偏見や差別に表立って戦うステレオタイプな感じではなく、 本当に芯の強い女性が、静かに崩れていく感じが、心を打たれました。 って、すんごい受賞してる・・・。
Contemplation部門より、
⑨In The Window
恋愛ものニガテですが、傑作だった、
タイの監督の、ラブストーリー。 最愛の妻を亡くした男性、葬儀の帰りに、思い出の家(別荘?)に寄り、幸せだった日々の思い出にひたります。 だれもいないはずの家の、あちこちから、もの音が。 カーテンを開く音、やかんのお湯が沸く音、雑誌がめくれる音。「・・・妻の名、そこにいるの?」 男性は、見えない妻を探しながら、心を通わせます。 これ、号泣しました!! 主人公の30代男性、演技めっちゃくちゃうまく、演技だけで号泣しちゃった。 セリフは、ほとんどなく、彼の一人芝居ですが、表情だけで心情を見せていきます。 カメラがそばにあることをまったく感じさせず、役に入り込んでいるので、 こっちがのぞき見しているカンジになってくる。 見えない妻と、2人だけの愛の世界。お茶を飲み、お風呂に入り、一晩を共にし・・・。 なんか見てはいけないものを見ているような・・・。 家の中とそのお庭、ぐらいの撮影でしたが、狭い世界を、きちんと丁寧に撮っていらっしゃて だれも入れない二人だけの世界が、画でも表現されていました。 はー、このタイの監督、ココロが純粋なヒトなんだわきっと。 (不純なココロの私は、このネタを、某所の演技レッスンで使わせていただきます) ベルギーの監督さん以外は、30代前後でお若く、これから前途多望。 全身全霊で、「上り坂」をかけあがっています!ってかんじ。 この中から、世界的巨匠になるのは、いったいだれだ。 私は「下り坂」を、たらたらと下ってますが、 どーせなら、あとちょっとを、さらにたらたら、 むだに時間かけて、楽しく下ってやろ。 ベルギーの監督さんの作品に出てくるような、おいしそうなパスタを、 うちのダンナが作って待っているかもしれん。 (・・・いや、まちがいなく、待たずに先食べてる。) そして、香港の監督は「民主化運動」、イギリスの監督は「移民問題」。 若い監督の半分ぐらいは、その国の社会問題をテーマにとりあげていらっしゃいます。 みなさん、問題意識が強く、母国のダメなところが許せない。 それは、裏返してみると、母国を愛しているからよね。
帰りに、食料調達に寄った、お気に入りのピアゴ(ティアラ・ディアラ・スーパーマーケット)で、
鉄火巻きらしきお寿司が、常温の棚に置かれていた。
マグロ、黒ずんできてるやんっ。 私は、インドネシア好きになりましたが、 唯一、日本人として、コレが許せませんでした。 母国はともかく、I Love SUSHI.
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著者yumi otsuka |