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「ファーストカット」と「ラストカット」

1/3/2020

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明けましておめでとうございます!
2020年最初のカメリハは、ポン・ジュノ監督の「母なる証明」です。
初めよければ、すべてよし。
今年は、素晴らしいファーストカットから!
何かの記事に書いてありましたが、
韓国の大女優キム・ヘジャさん、「ひとりで、ヘンなダンス踊るの恥ずかしいっ」と、おっしゃられたため、
カメラの後ろで、スタッフ全員、一緒に踊ったそうです。笑。
​そっちも撮っておいてもらいたかった。
ポン・ジュノ監督、ワンチームや。

​
さて、昨年のカンヌ映画祭、
​韓国初のパルムドールに輝き、歴史的快挙をなした、
ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 」は、カメリハの翌日、1/10からミリオン座で上映です。
待ちに待ってました!

​実は、昨年のカンヌ前半戦では、
わがペドロ・アルモドバル監督、アントニア・バンデラス、ペネロペ・クルス主演の、
「Pain & Glory」が、ぶっちぎりの高得点で、最有力候補間違いなし、と書かれ、喜んでいたのですが、

後半、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」に追い抜かれ、見事に持っていかれました。

ううう、しょうがない。
作家性が強すぎて、世界観が独特すぎる、アルモドバル監督と違って、
ポン・ジュノ監督の映画は、どの国のだれが観ても絶対おもしろいもん。満場一致。

パルムドールは持っていかれましたが、
とりあえず、主演男優賞は、わがアントニオ・バンデラスでした。
いやもう、てっきり、そっちも、ソン・ガンホだと思った。


ポン・ジュノ監督常連、ソン・ガンホ主演、名作「殺人の追憶」の、ラストカット。
終わりよければ、すべてよし!
!!!!
最後、カメラ目線!

今さら説明するのもなんですが、
2003年「殺人の追憶」は、ポン・ジュノ監督の大出世作&大ヒット映画です。

1980年代に起きた、韓国3大未解決のひとつである、「華城(ファソン)連続殺人事件」がモチーフです。
凶悪で残忍な事件そのものもショッキングですが、

「こんな監督がいるなんて! しかも隣の国に!」ショックの方が、はるかに大きかったです。
(この年の、日本の大ヒット映画は「踊る大走査線」でした)

俳優志望の男子に「おすすめの映画は?」と聞かれ、何度かこれを推薦しました。
捕まりそうで捕まらない犯人、刑事役ソン・ガンホの、どんどん追い詰められて、気がおかしくなっていく演技は、
こっちまでおかしくなって、辞職したくなります。

暴力シーンが多いため、女子はひくかもしれませんが、
私は、ひくどころか、のめりこんで、
のちに「ポン・テール」と呼ばれる、「ポン監督のこだわりまくりの、ディテール」を、
DVD巻き戻しながら、しげしげと観ちゃいました。

美術やセット、お洋服や小道具、何もかもですが、
​演出が、いちいち、こまかいっ。
そして、いちいち、おもしろいっ。

前にも紹介しましたが、このカンペキな長回しに集約されています。
土手から降りてくる人は、必ず転ぶ。笑。

身も凍るような殺人現場に、こういった演出を入れても、
ブキミ感と、キンチョー感は、減っていません。しかも長回しで。

画の見せ方や、それをふまえての演技の見せ方が、すごく勉強になります。

クライムちっくな映画には、
ポン・ジュノ監督のように、色調を抑え、暗ーく、重ーく、
シリアスな世界を、めいっぱい作り上げているものが多いですが、
それに合わせてか、役者さんたちの演技が、みょうにかっこつけすぎだったりすると、
なんだか盛りすぎで、うそくさくて、冷めちゃって、こんな画にはなりません。

ポン・ジュノ監督の映画は、いわゆるかっこよく見せるシリアスシーンも、
かっこつけてる登場人物もあまり描かず、どこかぬけてるシーンで油断させておいて、
ここぞという見せ場で、追い詰められ人物の、孤独でぶざまな様を、持ってくることが多いなと思います。


​また、​ポン・ジュノ監督は、
カメラワークから俳優陣の動き、演技を、
すべて、画コンテに、きっちり描くそうです。

撮り終わって編集した映像は、
ほぼ、画コンテ通りになっているらしい。すごい!

俳優さんたちは、もうできあがっちゃったコンテ渡されて、
それ以上に演技しなきゃいかんので、より大変です。
でも、きっとそれ以上にしてるから、映画ヒットするのだわ。

常連、ソン・ガンホは、
決してイケメンでもなく、かといって、コメディアンでもないのに、
どんな役でも「うわ、またこの人、役ぴったり」と思えるのは、ポン・ジュノ監督の意図を、
監督以上に理解しているように思えてなりません。
「パラサイト」も、またぴったりなんだろうな。


ここで、「殺人の追憶」がらみの、超・びっくりニュース。

韓国を震撼させた、未解決の「華城連続殺人事件」ですが、なんと、
​昨年の9月、犯人が検挙されたそうです!


残念なことに、時効が成立しており、残虐きわまる事件の罪は問われません。

監督、パルムドール受賞より驚いたことでしょう。

そして、この犯人捕まったのをきっかけに、
「殺人の追憶」が、再度注目されているらしいです。

ラストカット、
刑事役ソン・ガンホのカメラ目線は、
事件を徹底的にリサーチし、犯人は、自己顕示欲が強い人物だと感じた監督が、
「犯人はこの映画を絶対観にくる」と信じ、
目が合うようにしたそうです。
自分が捕まえてやるとまで、作品にのめるこんでいたらしい。

​​
なんてミラクルな。
​・・・犯人、観たんかな?? (別件で服役中だったため観てる可能性は少ないらしい)

ポン・ジュノ監督、2019年は、ダブルびっくりだったね。


2020年になっちゃいましたが、これを機に、
「母なる証明」、「殺人の追憶」、新作「パラサイト」を観て、
ファーストカットと、ラストカットにあやかろう。

初めも、終わりも、今年が、よい年になりますように。
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    著者

    yumi otsuka

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