第13回めは、小心者の男と、大胆不敵な女のやりとり。「息のあわない犯罪コンビ」を、息を合わせて演じると、こうなりました。カメリハ・オリジナル「ジャッキー・ブラウン」スタート! 大胆不敵なナマイキ女:みさきちゃん ひさえさん 小心者のムショ上がり男:じんくん 場所はデパート。試着室で、取引きをするシーンです。 じんくん演じるムショあがりのオトコは、もともと気が小さく、大きな犯罪を成功させるためのプレッシャーで、ビビりまくり。 一方、ムリヤリ手伝わされるはめになった、ひさえさん&みさきちゃんは、いやいやモード全開で、はなからオトコを小ばかにしています。 それでは、完成版から! ●じんくん&ひさえさん完成版 〇ひさえさん イーッとなってくる、うざいおばちゃん。 前半は、若造のチンピラをへらへらとばかにした感を生かし、最後はキレてます。 途中、まわりこむように、カメラ正面に立ち位置を移動してもらいました。 こうすると、自分の顔も映るし、イヤな感じも増します。みなさんも、やるならこれぐらい自然にさりげなく、そしてあくまで、イヤな感じが増す、という効果ありきでね。 舞台女優の、キャラが生きています。 〇じんくん うざいおばちゃんを相手に、イーッと、手に負えない感が、伝わってきます。 ふだんは姿勢よいのに、全体的にぐだっとしたチンピラ風の所作。 →パチンコ屋にいそう。 今度はみさきちゃん相手の「小心者」演技と比べてみてください。 ●じんくん&みさきちゃん 完成版 〇みさきちゃん クーッとなってくる、こにくたらしい小娘っ。 いやいやモードの表情と、こばかにしてる表情、これから犯罪犯すというのにお洋服が見たい、という大胆不敵な笑顔を、表情豊かに使い分けてるのが、はっきり読み取れます。 さんざんもめて、最後はムッとふてくされて、すたすたと、歩いていっちゃうのが、めちゃ笑えます。 みさきちゃんは、カメラの位置を意識し、正面を向く演技を、すごく自然に取り入れているため、立ち位置はあえてそのままでやってもらいました。 そして、こまかいことですが、大事なこと。 小道具の「バッグ」を、肩にかけて登場してきます。 フツーに手で持っていては、見えないので、カメラのサイズを計算してくれたのね。(追記●「バッグを持ち換えたのは、じんさんのアイデアです。くやし~!」と、みさきちゃんから連絡きました。) ブリジット・フォンダの金髪コギャルを、みさきちゃん風にアレンジしたムカつく小娘が、お見事。 〇じんくん ビビッている小心者キャラが、違うのがわかりますか? 本人は、こう思ったそうです。 ひさえさんの時は、「周りにビクビク、うざーいおばちゃんに、始終イライラ。」 みさきちゃんの時は、「周りにビクビク、クソなまいきな小娘から図星さされ、ぐさっ。」 このリアクションが、とてもよかったため、編集もアップを2か所に分けて入れました。 自分だけの芝居ではなく、相手との関連性を保っています。 わざとらしい表情を作らず、「心にためている」ような演技をするじんくんと、 すごく自然に、コロコロ表情が変わる、みさきちゃんの演技の対比が、相乗効果。 すたすた去って行く、ちっこいみさきちゃんと、 慌ててひっつかまえる、デカイじんくん。・・・トムとジェリーやん。笑 ・・・という、仕上がりになるまでに、 以下のことを、みんなで考察し、撮って→観て→話し合う をくりかえしました。 考察①:「ここはデパート、これから犯罪を犯す」 なので、あまりハデにもめてると、人目についちゃいます。警備員が飛んできちゃう。 大ぶりな動きや、ハデな言い合いは、見ごたえあり、とてもすきなのですが、 映画やドラマの場合、「ここはどういう状況か」ということを、考えて、演技に反映させるクセをつけるとよいのではないでしょうか。 考察②:「演技プランは、仮にしておいて相手ありきで」 今回の場合、違うタイプの大胆不敵な女を相手に、「息の合わないコンビ」を、息が合うように演じるようにするため、大変なのは、じんくんです。 あらかじめ、「小心者」の演技プランを立てておいても、「うぜーおばちゃん」と「クソなまいきな小娘」を相手に、同じリアクションをしては、プランだけがひとり歩きし、かみ合いません。 じんくんは、あまり小細工せず、心に正直にするところが、柔軟です。 そして、じんくんのリアクションを、生かすのも殺すのも、ひさえさん&みさきちゃんの、「挑発」演技です。 ひさえさん、みさきちゃん、それぞれタイプの違った、挑発的なフリ方によって、 じんくんの演技は、変わってきます。 3人とも、手をひっつかんだり、振り払ったりする動きが、「だんどりくさく見えない」ように、気にしてくれました。 これ、やってみるとわかるけど、けっこう大変。 ちなみに、肩慣らしということで、とりあえず撮ってみたTake1は、こちらです。 ●じんくん&ひさえさん Take1 ●じんくん&みさきちゃん Take1 ひさえさん、舞台女優ならではの、ハデなアクション、ハデな言い合いが、これは、これでおもしろいっ! ただ、考察①のとおり、「デパート」やると、警備員がとんできます。犯罪やる前につかまっちゃう。 なので、完成版では、3人とも、(特にじんくんは)声を落とし、周りを気にしてビビってる感を増しました。 みさきちゃんは、完成版で、より整理された動きが確立されていますね。(バッグの持ち方も自分で気がついてくれました。私が気がつかんかったのに)。→●さきほど追記したとおり、バッグの位置に気がついたのは、じんくんでした。くやし~。 ここで「外国の俳優さん」考ですが、 ロバート・デ・ニーロが、どんな役でも、めーーーーっちゃめちゃ自然でお上手なのは、 やはり「相手に合わせた芝居」に、そうとう長けているからだそうです。 ジョニー・デップは?(小声で・シリアスな役も、コミカルな役も、いつでもどこでも相手かまわず、オレがオレが、なのが。ま、ジョニー・デップだからいいんだけどねっ。) それでは最後に、映画「ジャッキー・ブラウン」の同じシーンをおさらい。 いやー、やっぱ、タランティーノをまねして、長回しにしたかいがありました。 自主制作映画出まくりで、役の幅がどんどん広がる、じんくん。 今後も、リーダー的な存在で、みんなをひっぱってくれます。 ひっぱられたいヒト、ぜひお越しください。 若い時のシャーリー・マクレーンを彷彿させる。みさきちゃん。 何でもこなせる、ちっこい女優さんに、演技で対抗したいひと、ぜひお越しください。 舞台も、映画にもはまっている、ひさえさん。独特のキャラ、若いコたちには、負けません。 舞台出身の方も、ぜひお越しください。 3人ともおつかれさまでした! さて、次回、5/25(金)は、撮影ではなく、セミナー形式のカメリハ。 シネマプランナーズ代表、日本映画インフラストラクチャ協会代表の、寺井隆敏さんがゲスト講師です! 「名古屋の俳優のための大相談会」、お見逃しなく。 おまけ。
ジャッキー・ブラウンのテーマ曲、「Across The 110th Street」の、「ニューヨーク110番通り」が、この目で見たくて、 地下鉄乗ったら、サミュエル・L・ジャクソン、そっくりなお父さんがっ! 気前よく、写真撮らせてくれた。 (110番通りを超えるとヤバイ地区です。下手すると撃たれるので、よいこはマネしないように。)
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Vol.24「英雄の証明」
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