執念の男・マクドナルドの創始者レイ・クロック。熱意あるプレゼンシーンを4人が再現。 演技初心者の大学生ゆきちゃんも加わり、カメリハ・オリジナル「ファウンダー」スタート! レイ・クロック:じんくん、みさきちゃん、ようこちゃん、ゆきちゃん 田舎の兄弟が経営する小さなハンバーガーショップ「マクドナルド(元祖)」の画期的なシステムに、すっかりほれ込んでしまったセールスマンのレイ・クロックが、経営者にプレゼンするシーンです。 この時点のレイは、冴えないセールスマン。これまで何度か事業を失敗してきました。 しかし「今度という今度は、間違いない。この店をフランチャイズ化すれば、ビッグな事業につながる!」と確信し、 寝ても覚めても、マクドナルド、フランチャイズ、マクドナルド、フランチャイズ・・・。 とうとう経営者のところに、のりこんできました。 成功への執着と執念にかられたこの男は、兄弟経営者から店をのっとり「マクドナルド帝国」を築きあげます。 主人公のレイ役と、経営者兄弟役+バイト役を、順番に、交代で演じてもらいました。 今回は、完成版から! ●じん・レイ・クロック じんレイは、何かにとりつかれてる感全開。 長身を生かした大きな動き、勝ったも同然のような表情で、ヒトの話などまったく聞かず、頭の中はすでに全米展開。 マイケル・キートンと同じく「ぜんぜん懲りないヒト」感が出ています。 ●みさき・レイ・クロック みさきレイは、照明も当ててないのに、お目めきらきら。 ちっこいのに、ド迫力でぐいぐいせまってくるので、思わずあとずさりしたくなります。 マイケル・キートンと同じく「勢いありすぎで困っちゃうヒト」感が出ています。 ●ようこ・レイ・クロック ようこレイは、ゆるぎない確信ぶり。 湧き出てきてしまうコーフンを、理性でセーブしながら力説。熱意と説得力に負けそうになります。 マイケル・キートンと同じく「これを世に広めずしてどうする!」感が出ています。 ●ゆき・レイ・クロック そして! カメラの前で演技をするのは、今回が初の大学生、ゆきレイは、 たった2回のテイクで、ここまでよく変えた! (Take1と比較してください) 天真爛漫の、満面の笑顔で、とんでもないこと言い出す、こわいものナシの大学生レイ。 技術的なことはさておき、 高速走る身振り手振りも、天真爛漫な学生っぽくってすごくいいですが、 おおっ!と思った点は、 ずーっと満面の笑顔だったのに、後半、一瞬、急に「真顔」になっていること! ずっと笑顔だったのに、目が座ってる。 笑顔➡真顔 これは、効きます。 さて、主人公のレイは、4人4色タイプが違っていて、見ごたえありますが、 〇もうひとつ注目すべきは、せんぱい3人の「経営者」と「バイト」です。 一番後ろにいるにもかかわらず、めちゃ反応しているバイトようこちゃん。「だれっすかこのコ?」。 この前レイが来た時は、非番だったに違いない。 〇また、せんぱい3人は、「経営者」と「バイト」を、立ち方ひとつで、あきらかに変えています。 デカイじんくんが一番わかりやすいですが、 経営者の時は、カラダも態度も開き気味。バイトの時は、カラダも態度も抑え気味。 ゆえに、年齢まで違って見えます。 どっちが学生やねん。 ・・・といった、カンジで、初心者、初撮影のゆきちゃんは、 3人のせんぱいたちに、あれこれ検証してもらいながら、 基本的な発声練習や滑舌も、アドバイスしてもらいました。(助かるわ~) 昭和の人間の意見ですみませんが、初心者のみなさんへ。 最近「自然な演技」をカンチガイし、発声や滑舌など、基本的なことすっとばして、映画やテレビに出たがるヒトが多いように思います。(「演技未経験OK」というオーディションのふれこみが多いからか?) だれでもOK!みたいな需要を作るオトナが悪いのは、間違いありませんが、それに安易にのっからないようにね。 何もできないだれでもOKなコトなど、この世にありません。(少なくとも仕事では) カメラの前に立たされると、最初はだれでもキンチョーします。でもうまい人たちと一緒にいると、自然と自分が解放され、なんか楽しくなってきて、演技ってこういうことかと、カラダが覚えてくるのが、わかると思います。 このひと、いつも楽しそう。笑。 今回は、2回しか撮影しませんでしたが、こちらからは言うこと何もございませんでした。 各自、勝手に修正してくれました。 初心者の方、自分が演じる人物の「背景」を考えて想像力をふくらませるといいと思います。 レイ・クロックは、何度も事業に失敗しながら、52歳でとんでもない事業をはじめた男。 20代30代が、50代のおっさんのキモチが理解できるわけありませんが、想像してみましょう。 ある日突然、自分のおとーさんが、田舎の喫茶店にとりつかれ、 「この小さな店を、スタバのようなチェーン店に・・・」みたいなことを、本気で言い出したら? そういうおとーさん、どんな状態? もしくは、演技を勉強している自分が、 「すごい才能のある監督に出会っちゃった。このヒトの映画に出られるチャンス、あきらめられない! 本気なんだってば!ハリウッドに行くから、お金貸して!」と、親や親戚一同に懇願している自分を想像してみては? この時点でのレイ・クロックは、まだ、さえないセールスマン。正気じゃないことは、想像できます。 では、マイケル・キートン演じるレイ・クロックをもう一度。 今度は、上級者のせんぱい方へ。 マイケル・キートンは、3人とは、あきらかに違う表現が、一か所入っているの気がつきましたか? 「そもそも、先日この街にきたのはミキサーを売りにきたんじゃないんです」のセリフのところで、 「実は白状するとこの前は偵察」=「ウソついてごめん」という気持ちで、演技しています。 ちゃんと謝ってはいませんが、ちょびっとだけ悪びれています。 (経営者がなんか言おうとした瞬間、ヤベッといった顔で片手で制し、両手をふって。 日本人が演じるなら、片目閉じて、片手でワリィ、みたいなかんじかも) そして、ボンネットに手を置いて、いったんコーフンを落ち着かせた後、 まさに「神のお導きであった」かのように、ここに来た経緯をきちん説明し、あなたたちの素晴らしいシステムと商品を、広めたい一心であることを力説しています。 ひとの会社をのっとる気満々の、単なるワルイ男なら、こういう誠実さは出しません。 マイケル・キートンは、一貫してこういった「誠実さ」を要所で見せつつ、「したたかさ」を演じています。 監督の要望なのか、本人が作り上げたのかはわかりませんが、要所要所の「チラ見せ誠実演技」に、ぐっときました。 決してオトコマエでもなく、むしろヒトの良さそうなアメリカ人のおっさんですが、 怪物か?英雄か?観る人を惑わす、ほんとに魅力的な俳優さんだと思います。お手本お手本。 最後に、4人のTake1を、編集せずノーカットでそのままアップしておきます。 まだセリフ入る前に撮っちゃいましたが、1Sも3Sも、それぞれ研究素材になると思います。 おつかれさまでした。
せんぱい3人、ご指導ありがとう! ゆきちゃんも、初参加ありがとう! 次回は、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」です。 おかまの男性、ガラの悪い女性、に挑戦してください。
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Vol.24「英雄の証明」
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