ポン・ジュノ監督のクライムサスペンス。ストーリーの転機となる、ひねくれた「悪友」のセリフを、
どアップ、カメラ目線、シリアス演技で挑戦。カメリハ・オリジナル「母なる証明」スタート!
じんさん・なおやくん(初参加)・たけしさん(初参加)・ひさえさん・みさきさん
今回も難易度が高い。
・いいヤツか悪いヤツかわからない複雑な性格。 ・長めのセリフ。 ・カメラ目線のアップ。 ・ストーリーの転機となる緊張感とインパクト。 これ、同時に表現できるか。 まずは、初参加・ほぼ初心者の、たけしさん、なおやくんの、Take1と完成版から。 ●たけしさん Take1&完成版 撮り終わってから、ご本人自覚していましたが、 「セリフ言うのに必死だった!」 当然です!だれもが最初はこんな感じです!なので、めげないでください。 「死体に、屋上が吊るしてあっただろ」って言い間違えていますし。 そんな画、さすがのポン・ジュノ監督でも撮れません。笑。 まばたきは、 絶対してはいけない、というワケではありませんよ。 でも、ちょっと多いかな。(あまり多いと不安で自信なさげに見えます) まばたきも演技ですので、 とりわけ、アップでは、どのタイミングでまばたきするか計画しましょう。 いつも、相手のセリフを聞く➡反応して心が動く➡セリフがでる、体が動く となるように言ってますが、 今回は、相手はいますが、会話のやりとりはありませんので、難しい。 (相手役は、セリフはありませんが、みんなそれぞれ反応してくれました) たけしさんは、まず、基本的な動作「姿勢」「立ち方」「歩き方」「座り方」を、研究してみてください。 特に、現場でも、ネックになった「歩き方」! ・ふつーに歩く ・うれしい気分で歩く ・悲しい気持ちで歩く こういう状況を自分で設定し、 背筋や歩幅など、身体表現を研究しましょう。 せっかくの個性的なキャラを生かすためにも。
●なおやくん Take1&完成版
おお、まばたき、よくがんばった! なおやくんには、気持ちを入れてくださいと要望しました。 ひとつは、役柄の気持ち。 役柄の性格を、しっかり研究しないと、 「心配しているイイやつ」に見えてしまいます。 もうひとつは、俳優としての自覚。 プロの俳優さんたちの多くは、 「練習は真剣に、本番はリラックスして」を心がけています。 だから、本番の現場が楽しくなります。 アップでの表情の作り方ですが、 目つき、口角、顔の角度ひとつで、ずいぶん印象が変わります。 座り方も、ちょっとはすに構える、そっくり返る、足を組むなど、 態度ひとつで、ワルそうに見えます。 「ただ歩いてきて、座る」という動作と表情を、セリフなしでやってみて、 だれかに見てもらって、どういう性格なのか、当ててもらってください。 自分はその気でも、見ているヒトに伝わっているか、ためしてください。 ヒトに伝える前に、まずは、役柄の性格を自分なりに解釈しましょう。 カメリハでは、もう完成している映画を題材にしているので、 人物のひととなりも、どういう状況かも、映画を観ればわかりますが、 本当の撮影は、紙の台本だけです。
たけしさんと、なおやくんに、映像的なアドバイスを、2つ。
〇ほとんどの映画やドラマで共通しますが(例外を除き)、 監督が「アップ、カメラ目線でセリフを言う」カット割りをした場合、 本当の相手役は、カメラの向こう側の、観客や視聴者です。 つまり、「すんごい大事なこと言うから、このお母さん役になったつもりで、ちゃんと見ておいてね」という意図が 込められています。 プロの俳優さんは、台本や画コンテに「カメラ目線で」と書かれてあるだけで、 「ここは見せ場だな、重要なシーンに応えよう」と、監督のねらいを察します。 みさきさん、ひさえさん、じんくんの演技を、のちほどしっかり見て、 どのように見せ場を作り上げているか、 自分には、何が足りないか、研究してください。 年齢、キャリア、容姿は関係なく、 自分を見せる ≦ ストーリーの見せ場を作る = 観客を引き込める 俳優さんになれるかどうかを、今後の課題にしてください。 〇ロングとアップ、 カメラ位置が変わっても、何テイク撮っても、同じ演技で、というのは、 「このセリフの前に、歩く」「座ってから、セリフを言う」など、セリフと動作を整理して、 演技するということ。 「カメラ1台の撮影では、ロングとアップで、なるべく同じ動きをしないと、編集でつながらない」 の例を、わかりやすく分割画面で編集しました。 なおやくんと、じんさんの、 セリフのタイミングに合わせた動きを比べてみてください。 機械のように、一字一句、一動作を、ぴったりシンクロさせろという意味じゃないよ。 セリフの「間」は編集でカットできますが、 タイミングや動作そのものは、編集では修正できません。 なおやくんの場合、 今回は、たまたまカット点が、歩き出す前だったため、つながってますが、もし、 歩いている途中だった場合つながりません。 (立ってる位置がもどってしまう、もしくは、ワープしてしまいます) カット割りや編集点が、画コンテと同じになるのは理想ですが、画コンテはあくまで撮影用の設計図です。 実際の編集では、俳優さんのアクションやセリフに合わせ、つないでみてキモチのよいカット点を、 数秒、数フレーム単位で探るため、同じ動きで演技することはとても重要です。 じんさんの場合、(みさきさんも、ひさえさんも)、 セリフの「間」を調整するだけで、どこをカット点にしてもつながります。 「自分の動きを整理してコントロールする」のは、 映像に出演する俳優さんの、大事な技術のひとつです。 舞台とは違う、映像特有の技術ですが、 現在、ドラマや映画に出ていらっしゃる舞台出身の俳優さんたちは、 もちろん、これを習得していらっしゃいます。 最初はとまどいますが、慣れてくるから大丈夫。
みんなの演技を、我ことのように、くぎづけで見いっているみなさん。
その調子で、観客をくぎづけにしてね。
それでは、3人の先輩方を、撮った順に。
3人は、Take1と完成版を分けました。 (どっちも完成してて、びみょうなバージョン違いになっているだけのため。両方OK) とりあえず、完成版から。 ●みさきさん
また、だれか別人が乗り移ってるっ。
●ひさえさん
あなたがそうおっしゃるなら、まちがいないわ。
●じんさん
カメラ、ひきそうになりました。あなたが殺ったんじゃないでしょうねっ。
先輩3名、まとめて解説。
初心者のおふたりと比べると、 緊張感のインパクトが、断然ちがいます。 こえ~っ。まばたきしてないっ。 みさきさん、してるけど、タイミングが自然。 みさきさん➡あえて無表情で、セリフに抑揚つけています。いいやつか悪いやつかまったくわかりません。 ひさえさん➡年齢を生かしたカンロクと確信を持った推理。ワケ知りの、すれてる女。 じんさん➡セリフも動作も、絶妙なタメが効いているため、意味深で、きみわるい。 人物のキャラをきっちり押さえています。 この映画が、クライムサスペンスであるということも。 みさきさんの、あえて精気のない目つきも、 ひさえさんの、ここぞと大きく見開く目つきも、 じんさんの、冷めたするどい目つきも、 すべて、アップショットに効く「目ぢから」です。 3人とも、年齢、性別、持ち味、表現の仕方はざまざまですが、 共通点は同じ、 「観客は息をのんで、くぎづけになる」 この緊張感あふれるアップを、映画館の大きなスクリーンで観たら、どうなるか想像してみてください。 これらはすべて、Take1からできあがっちゃってる完成度なので、どっちもOKです。 あとは、びみょーな違いを、各自勝手に研究資料にしてください。 (ベテランは、Take1からできあがっちゃってるので、ガラっと変わらずつまらんです。ちっ)
みさきさんへ。
「イスに座る時、視線はずしちゃった~」と反省してましたが、「素」に戻ったわけではなく、演技は、自然に続いているのでOKです。 なおやくんへ。 完成版の時(編集では入ってませんが)、イス探して目線を外してはあかん!と言ったのは、あきらかに「素」のなおやくんに戻り、演技がとぎれたからです。
それでは最後に「母なる証明」の本物のシーンをもう一度。
(1分49秒から)
現場でも言いましたが、「殺してやったんだ」の手の動きが、フレーム内に入っているのは、アップだとわかっているからです。考えたな~。
ネタばれになりますが、 この映画さ、このひねくれた悪友クンが、一番まともで、いいヤツってことだよよね?? だって、結局、犯人ってさ・・・。➡後日、語りましょう。
(私の時間配分ミスで、オーバーしちゃって、たけしさん集合写真とれずにごめん)
難易度の高いテーマに参加してくれた、初参加・初心者のお2人ありがとうございました! ベテランのお3名もご指導ありがとうございました! 上達するコツは、日々の努力はもちろんですが、 「上級者もしくは、プロと一緒に演技する」ことだと思います。 うまいヒト相手に、くいついていくと、 演技そのものも、 演技にむき向き合う姿勢も、 つられて、どんどん上達するよ。
さて、
次回のカメリハ 、第20回めは、 じんさん、みさきさん、ひさえさんに出演していただきました、 ショートムービー「母儀 ~母たるものとしての模範~」(英語タイトル:About My Mother)が、 昨年、海外の映画祭で20か所入選&上映されたことをかねまして、 カメリハ特別イベント「母儀・上映会&交流会」 を、4月ごろ、名古屋市内で、予定しています。 (※日時、場所、参加費などの詳細は、「開催情報」でアップします。) 以下、2018年撮影時の写真。
デリカシーに欠ける兄役(じんさん)、しっかりしすぎの妹役(みさきさん)と、巨匠カメラマン
着物屋のお客さん役(ひさえさん)と、オトコマエで、プロフェッショナルな、女子録音部。
ヘアメイクばっちり兄妹
ビール飲みながら仕事するシーンのみさきさん
男とベッドシーンのじんさん
インドネシア、バリ国際短編映画祭(Minikino Film Week5)に参加の、じんさん・主演女優さん・録音部・私
世界中の個性的な俳優さんたちが、次々とスクリーンに登場する中、 じんさん、みさきさん、ひさえさんの演技は、 海外の観客の笑いをさそいました。 カメリハに来てくれた3人に目をつけ、とっつかまえ、 キャスティングした私は、感無量です。 交流会は、 じんさん、みさきさん、ひさえさんも、参加(※予定)です。 俳優志望の方は、ぜひご参加ください! ・どのように役作りをしたの ・撮影のエピソード ・どうやって練習してるの ・どんな活動をしているの などなど、 いろいろな話を、本人たちに、直接こってり聞いてください。 参考になりますよ。 また、俳優さん志望だけでなく、 自主制作映画を作っているヒトも、ぜひお越しください! 「国内は1か所も入選していない(涙)のに、 海外で20か所入選&上映された(まだ更新中) 超超超低予算〇十万円のショートムービー」 の、キャスティング、資金集め、撮影~編集・MA、 海外映画祭の出品方法、映画祭リポートなど、ウラ話お話します。 映画を目指す、俳優さん、制作者、 みなさんとお会いし、交流できるのを楽しみにしています!
0 コメント
返信を残す |
Vol.24「英雄の証明」
|